新・古事記
#8
遡ること数年前。。。。。。。
ヒステリシス財団。園を守るための財団。
巨大なクルーザーに本拠を持ち、どこの国にも属さない。
現在は衛星なども用い、常に園を監視し、ピンチの時には彼を救ってきた。
経済的な援助なども行っている。
現在も園が入院中につき、彼への監視を強めている。
「あの方を間もならければ。。。」
船長の彼が呟いた。
「園は現在、隔離で拘束状態です。」
「園の経済状況は現在かなりまずい状況です。どうしますか?」
「そうだな、日本国の政府から給付金を出すようにしろ。あの方に知られてはまずい。絶対にばれぬようにな。。。」
「給付金の額は、いかがいたしましょう?」
「そうだな。非課税世帯に10万出すことにしろ。絶対に我々の存在は知られてはならぬ」
「あの方の命だけは。。。」
「現在、拘束状態はきつく、生命位置が難しい状態です。いかがなされますか?」
「尿道に管を通せ。あの方は嫌うがおむつを強制的に履かせろ」
「あの方は、おむつを非常に嫌っています。どうしますか?」
「強制にしろ。活かし方あるまい」
「あの方が拘束着を引きちぎり、現在、右手が自由な状態です」
「看護師の監視を緩めるのだ。あの方には希望が必要だ。拘束着の他の部分も緩めてやれ」
「現在、内通者の看護師は4人です。ほぼあの方の言いなりです。誰を行かせますか?」
「そうだな。。。外野が良いだろう。彼がこのヒステリシス財団の一番の理解者だ」
「師長も有能です。いかがなされますか?」
「外野が良いだろう。彼が一番このヒステリシス財団に理解を示している。外野を派遣しろ」
「現在、外野に脳内モールスで指示を出しています。すでにあの方の隔離室に向かっています」
「さすがだな。ほかの看護師はあの方の隔離室に近づかないようにしろ」
そのころ隔離室では。。。
ギャー、外せー、出せー、この病院を破壊するぞー
この病院は非常に広いにも関わらず、病院中に園の声が響く。
「もう限界だ、何時間あの声で叫んでいるのだ。病院中の患者から苦情の嵐だ」
「外野に行かせろ。もうあの隔離室に近づけるのは彼ぐらいだ。あの声量では耳栓をしても誰も近づけん」
「外野、園さんの病室に行ってくれ。この耳栓をして行け」
「耳栓なんていりません。患者の気持ちを思えば耳栓など。。。あ、すぐ行って参ります」
外野は隔離室に向かって、陸上選手のように走っていった。
退院したら覚悟しとけー。この病院を乗っ取ってやるー。火ーつけたるー。
外野は隔離室に素早く接近する。確かに大きい声だがあの方の声と思えば子守歌のように心地よい。
「トントン」
「園さん。今鍵を開けます。中に入りますよ」
「おう、外野さんか、俺はこの病院を乗っ取る。給料は月50万だ。もう名前も決めてある。うちの病院に来ないか?」
「是非お願いします。給料はそんなにもらえません。名前は。。。」
「玲子記念病院だ。俺はこの病院をもっとでかくして総合病院にする。外野さんはこの病棟の師長だ。もう周りの土地も買収済みでキャベツ畑にカモフラージュしてある。取引銀行も押さえた。絶対のっとったる!!!」
「素晴らしいですね」
外野は園を愛おしそうな目で見つめる。
「なんてかわいいひとなんだ。。。」心の中で呟く。
「園さん。右手外れてますね。いたくなかったですか?」
「こんなのかすり傷だ。30秒で復元できる」
「ばれない程度に外しておきますね」
「。。。おしっことうんこがしたい。尿道管とおむつは絶対嫌だ」
「ポータ入れましょう。おしっことうんこの時は呼んで下さい」
「ありがとう。給料100万だ」
外野は慈愛の目で園を見つめる。
「そんなにもらえません。園さんの病院で働けるだけで満足です」
「それより円周率が有理数である証明ができそうだ。この右手で証明できる」
「つまり円周率が無理数である証明が間違っている可能性があるんだ」
「どういうことですか?」
「円は中心から等距離の点の集合だ。しかしこの右手がはずれるということは円の中に中心から等距離でない箇所があることを示している。つまり円周率は有理数だ」
「。。。」
外野は全く理解できない。
「つまり、うんことおしっこだ」
「拘束着外しますね。すこし休憩してください」
「すまんな」
「すぐ、ポータ持ってきます」
「おう、頼む」外野はすぐ備品の倉庫に走っていった。