新・古事記
#10
いつもと同じ朝の風景。
5時、園は目覚め、水をがぶ飲み。6時の計測。いつもの席に座ってタバコの妄想。6時半、ジュースの自販機と往復。隣の席はまだ空いている。
同じころ天野文はラジオ体操。園の左前に座る。すでに園の前には空ペットやらコーヒーやんやらが4本並んでいる。
「おはようございます」
「おはよう」
月詠命が遅れて登場、ねむねむの目を擦りながら園の左に座る。
「やっほ。命さん」
「やっほ」
。。。
「二人付き合うんでしょ」
「ええ、まあ」
「まじ、付き合うよ!」
「俺船持ってんだ」
「今度乗っけて!」
「私も」
「いいよ。ぼろだけど」
「どれぐらい乗れるの?」
「車が。。。」
「車?」
「車なんて乗れるの?」
「人が。。。」
「何人?」
「何人?何人?」
「選ばれた。。。」
「どういうこと?」
「どゆこと?」
円はニコチン切れのため思考が定まらない。
「俺も。。。ただ。。。影を見ただけ。。。」
「どゆこと?」
「自分の船なのに?」
「空にー。。。」
「何言ってるの?」
「どゆこと?」
もはや園の言葉は支離滅裂だ。
「そんなことより退院したらみんなでカラオケ行かない?」
「いいねー」
「行く!行く!」
「宇さんにも来てほしい。。。」
「宇さん歌うまいもんね」
「ネットにアップするぐらい。うまい」
「園さんは?うまいの?」
「のどがーーー。。。つぶれてーーー。。。つながってーーー。。。」
「4人でグループ作ろう。4人の頭文字を取って天月宇船!!!」
「船ってなあに?」
「園さんが船持ってるから?」
「園じゃ響き悪いもんね!」
「。。。核が。。。」
園の頭の中はすでに核戦争だ。
。。。朝食後。。。
「どっちから告白したの?」
「それは僕です」
「?」
「僕が好きになって告白しました。」
「命は僕の命です。。。あっ、駄洒落になってしまった」
「!?私がこ。。。」
「命は黙って。僕が惚れて告白して付き合うことになりました。命さんは僕の気持ちを受け止めてくれました。」
「。。。園さんって昔気質っていうか。。。」
「???」(私二人の会話についていけない。どゆこと?何が起こってるの?)
「僕、命さんと結婚します。もうずっと一緒にいます。死が二人を分かつまで頑張ります!」
「おっとこ前やね笑」
。。。
「天月宇船もいいけどせっかく私のところにみんな集まってきたし、退院したらみんなでグループ作らない?」
「名前は?」
「考えたんだけど”羅武派”なんてどう?愛の派閥。。。」
「いいね!いいね!”ラブハ””ラブハ”」
「いいですね暴走族みたいで」
「?ボウソウゾク?」
「あら、漢字まで分かるの?」
「”羅武派”でしょ?暴走族なら当然」
「あら、暴走族だったの?」
「あっ、いやっ、中免は持ってますけど。」
「暴走族だったのね笑」
「いや、なんとも」
やがて朝食が運ばれてきた。