新・古事記

2024-01-22 23:48:00

#10

いつもと同じ朝の風景。

 

5時、園は目覚め、水をがぶ飲み。6時の計測。いつもの席に座ってタバコの妄想。6時半、ジュースの自販機と往復。隣の席はまだ空いている。

同じころ天野文はラジオ体操。園の左前に座る。すでに園の前には空ペットやらコーヒーやんやらが4本並んでいる。

「おはようございます」

「おはよう」

月詠命が遅れて登場、ねむねむの目を擦りながら園の左に座る。

「やっほ。命さん」

「やっほ」

 

。。。

「二人付き合うんでしょ」

「ええ、まあ」

「まじ、付き合うよ!」

「俺船持ってんだ」

「今度乗っけて!」

「私も」

「いいよ。ぼろだけど」

「どれぐらい乗れるの?」

「車が。。。」

「車?」

「車なんて乗れるの?」

「人が。。。」

「何人?」

「何人?何人?」

「選ばれた。。。」

「どういうこと?」

「どゆこと?」

円はニコチン切れのため思考が定まらない。

「俺も。。。ただ。。。影を見ただけ。。。」

「どゆこと?」

「自分の船なのに?」

「空にー。。。」

「何言ってるの?」

「どゆこと?」

もはや園の言葉は支離滅裂だ。

「そんなことより退院したらみんなでカラオケ行かない?」

「いいねー」

「行く!行く!」

「宇さんにも来てほしい。。。」

「宇さん歌うまいもんね」

「ネットにアップするぐらい。うまい」

「園さんは?うまいの?」

「のどがーーー。。。つぶれてーーー。。。つながってーーー。。。」

「4人でグループ作ろう。4人の頭文字を取って天月宇船!!!」

「船ってなあに?」

「園さんが船持ってるから?」

「園じゃ響き悪いもんね!」

「。。。核が。。。」

園の頭の中はすでに核戦争だ。

 

。。。朝食後。。。

「どっちから告白したの?」

「それは僕です」

「?」

「僕が好きになって告白しました。」

「命は僕の命です。。。あっ、駄洒落になってしまった」

「!?私がこ。。。」

「命は黙って。僕が惚れて告白して付き合うことになりました。命さんは僕の気持ちを受け止めてくれました。」

「。。。園さんって昔気質っていうか。。。」

「???」(私二人の会話についていけない。どゆこと?何が起こってるの?)

「僕、命さんと結婚します。もうずっと一緒にいます。死が二人を分かつまで頑張ります!」

「おっとこ前やね笑」

 

。。。

「天月宇船もいいけどせっかく私のところにみんな集まってきたし、退院したらみんなでグループ作らない?」

「名前は?」

「考えたんだけど”羅武派”なんてどう?愛の派閥。。。」

「いいね!いいね!”ラブハ””ラブハ”」

「いいですね暴走族みたいで」

「?ボウソウゾク?」

「あら、漢字まで分かるの?」

「”羅武派”でしょ?暴走族なら当然」

「あら、暴走族だったの?」

「あっ、いやっ、中免は持ってますけど。」

「暴走族だったのね笑」

「いや、なんとも」

 

やがて朝食が運ばれてきた。